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入居者無料、インターネットマンションの普及と多様化
スマホ・タブレットの普及によってインターネットの利用が生活のインフラ化してきているという実態と、インターネットマンションと言われる入居者が無料でインターネットを利用できるマンションプランの多様化の取材記事が目につきます。
インターネットマンションを提案する会社は様々なニーズを拾ってサービスや商品を提供しているようです。
既に平成26年度ではインターネットの利用率が90%以上に上るという総務省の調査から、インターネットを無料で使える賃貸マンションを考える不動産オーナーが増えつつあるという内容の情報を抜粋してみました。
以下、抜粋記事
入居者無料インターネットマンションという言葉も浸透しつつつある。総務省の「平成26年度版情報通信白書第2部第5章第3節(2)インターネットの利用状況」によると10~50代で90%以上が利用していることがわかる。しかし、実際の部屋探しサイトで"入居者無料インターネット"の条件を追加すると、表示件数が激減するのが現状だ。まだまだ普及には時間がかかるようだ。
「スマホの利用率が高くなっているからインターネット設備はいらないのでは」「ポケットWiFiを持っている人が多くなってきている」などという声もある。しかし、スマートフォンの料金は従量制課金になっており、ある一定のデータ量を超えると制限がかかってしまうのが現状だ。「通信利用動向調査報告書(平成26年6月27日)」によるとスマホ利用世帯は69.7%が固定インターネットでWiFiを利用している。これはスマホを利用するときは、家のWiFiと接続したり、カフェなどのフリーWiFiを利用したりしているという結果だ。動画やゲームなどを利用すると契約のデータ量をオーバーし、通信速度が低速になってしまうケースがあるため、このような利用方法になると分析できる。
まだまだ空室対策にも効果が見えそうだ。実際に空室対策のために導入した例がある。
栃木県内で約7000戸管理している三和住宅サービス(栃木県那須塩原市)。空室対策のため、7~8年前からインターネット無料マンションをスタートした。
今回、NTT東日本が昨年から新たに提供を開始した「フレッツ光WiFiアクセス」を導入した。これは、初期費用0円でランニングコストが低価格のプランだ。15世帯中8世帯が空室だったが、導入後1か月で5世帯が決まったという反響ぶりだ。
「店舗がある大田原市には、国際医療福祉大学などもあります。が、入居者無料型のインターネットマンションはまだまだ数が少なく、差別化サービスになります。今回の物件も思っていた以上に反響がありました。オーナーさんの負担も軽減できるサービスですし、これからも積極的に提案していきたいと考えています。」と同社湯澤和幸氏は語る。
今や空室対策だけではない、退却抑制効果を狙い導入した管理会社がある。アルプス住宅サービス(東京都豊島区)は数年前からインターネットマンションの導入を始めた。
空室対策で行うことが多かったのが今回の物件に関しては、満室物件に導入。撤去抑制効果を狙った。導入したサービスは、NTT東日本のフレッツ東日本の「フレッツ光ネクストマンション全戸加入プラン」。
同社がNTT東日本を選んだ理由はいくつかある。一つは、やはりブランド力による安心、信頼があるというところだ。メンテナンスなども請け負ってくれるのが良かったという
さらに今回マンションのサービスを導入したことにより、将来今以上の高速環境を求め、10Gbps、100Gbpsに切り替えた場合も配線工事のやり直しをしなくてもいいのだという。
また、今回のプランでは、入居者は部屋の中でWiFiを利用できるものにした。より入居者の利便性を高めた結果だ。
「今回の物件のオーナーさんはもともと何か良い入居者サービスがないか模索していました。インターネットを利用するのが当たり前になった時代、入居者のインターネット料金を自身が負担することで、長期入居につながれぱと考えたようです。賃貸経営を真剣に考えているオーナーさんです」と同社の管理部PM課瀧本勘樹課長は語る。
建物のネット環境を活用し付加価値アップを狙ったケースもある。
エスエストラスト(東京都八王子市)では、数年前から管理物件のオーナに積極的に提案を行っている。昨年12月には新たな取り組みスタート。インターネットマンションのネット環境を活用し、エントランスに電子掲示板を導入。レジデンシャルインターネットの新サービスだ。従来、掲示板には常に何かしらの張り紙があり見栄えが良くなかった。
しかし、同サーピスを導人したことで見栄えが良くなったとオーナーからも好評だ。
さらに、内見の案内時の入居希望者の反応も良いという。「ホテルみたい」「常に最新の情報が発信されているので日に留まる」などの声が聞かれている。「インターネットが無料で最先端のマンション」ということがアピールできているのが奏功している。
同社としても業務効率が良くなったという。例えば、違法駐車があった場合、従来は、現地で写真を撮影し、プリントアウトして、マンションの掲示板に貼るという作業が発生していた。しかし、デジタルサイネージを利用することで写真撮影後すぐに送信、入居者に知らせることができるという。そのほか、ゴミ出しルール、定期点検スケジュールなどの連絡事項を告知している。ペーパーレスのため、紙のコストの削減、人員の効率化などメリットを感じているという。
木造向けのWiFiサービスを提案
インターネットマンション提案会社もさまざまな取り組みをしている。
「競合歓迎」と自信をのぞかせるのはバッファロー・IT・ソリューションズ(東京都中央区)の田中辰吾社長。同社が提供するのはスマホやタブレット端末の普及で急速に需要が高まっているWi-Fi通信サービス。木造賃貸住宅向けWi-Fiサービスは一昨年に同社が参入し、戦いの火ぶたを切った形だ。その後、同様のサービスを提供する企業が増えたが、市場拡大は好機とばかりに喜んでいるのだ。自社の強みとして話すのは24時間のサポート体制だ。(契約から2年間は回線状況を監視。)利用する入居者からの問い台わせに全て対応する。「全ての回線を当社のセンターで監視します。万が一、回線が使えない状況に陥ってしまっても利用者より先に当社が気づき対応する」という。この手厚さが提供できるのは、親会社メルコホールディングス(愛知県名古屋市)が個人向けのWiFi機器販売の大手だからだ。Wi-Fi通信環境の構築についても高い技術を持っており、市場拡大を好機ととらえて更なる普及を狙っている。
集合住宅向けに入居者無料インターネットサービスを提供する、ギガプライズ(東京都渋谷区)が好調だ。
今月には、エイブル前社長、梁瀬泰孝氏の社長就任を発表し、賃貸業者との接点を増やしていく。集合住宅向けサービスをメイン事業とした中では、唯一の上場企業。財務や管理体制に安定感がある。
昨年度は、過去最高益を更新、サービス提供戸数も同社念願だった10万戸を突破した。加えて新商品も好調だ。新商品「埋め込み式無線アクセスポイント」は、室内の壁に無線LAN機器を設置し、Wi-Fiサービスを捉供するもの。昨今のスマートフォンやタプレットの急速な普及もあり、好評を博しているという。同社・東京本社を中心に福岡、昨年開設した名古屋に営業所を構え、高品質なサービスを提供していく。
インターネット導入4万8000件の実績があるファイバーゲート(東京都港区)。賃貸住宅向けに提供しているのは、「FGBB」。
特徴は同社独自開発の部屋内壁面埋め込み型の無線LANアクセスポイントを標準で設置していること。さらに入居者がインターネットを利用する際、自動でサイトが立ち上がる設定が可能。物件ことの情報を連絡事項などとして情報発信することができる。
屋内Wi-Fi対応は、他社でも例があるがアンテナをなくした形で、ジャック内にWi-Fiチップを内蔵、電話ジヤックも標準で装備し、なおかつ無償で保守対応するのは、同社ならでは。その秘密は、同社では、オリジナルでWi-Fiルータの開発を行っているため。自社で設備まで開発しているのはめずらしい。壁埋め込み型だけでなく独立型もあり、他企業にも提供していきたい考えだ。
賃貸業界に注目 積極的に営業行う
新たに賃貸業界に目を向けている企業もある。つなぐネットコミュニケーションズ(東京都千代田区)だ。今後賃貸住宅向けへの営業も強化していく。従来は分譲向けに「e-mansion(光ファイバー)」を提供してきたが、マンション販売戸数の減少と「マーケットが賃貸に流れてきている」(藤本周平課長)ことから、分譲向けの高品質なブロードバンドサービスを賃貸向けにカスタマイズしていく方針。これまで実施した2525棟のうち賃貸住宅はわずか1割だ。同社の主力商品は、昨年夏に公開した埋め込み式無線LAN。Wi-Fiも全室無料で対応している。来年3月までの竣工物件を対象に割引キャンペーンを行っている。
ジェイネッツ(東京都千代田区)は、電子錠や防犯カメラなど豊富なセキュリティ設備を活用したブロードバンド提案を行っている。例えば、屋根裏や床下など普段視界に入らない箇所にカメラを設置し、故障などの原因究明に迅速に対応できるようにするなど、付加価値を与えている。初期費用は無料。毎月定額の料金で導入が可能。
オーナーの初期投資やランニングコストを抑えたプランも様々出てきているようだ。また、地域によっても変わってくるが、入居者に対してもインターネット無料だけでは差別化が難しくなってきている。今後は、物件、予算、地域にあったプランの選定が必要となってくるだろう。
記事の引用元:全国賃貸住宅産新聞
記事のように、賃貸マンションへのインターネット導入サービスが充実し、インターネットマンションは急速に普及してくると考えられます。
今後は、入居者にインターネット無料というだけでは差別化が難しくなってくるので、地域や物件に合ったサービスの選定がより必要になってきます。